会員のリード会計・法務事務所さんの投稿です。
■ 本当に借入が必要なの?
よく「借金も実力のうち」と言われます。
確かに、金融機関がお金を貸すということは、信用の現われであり、
実力のうちかもしれません。
しかし、借金は返済しなければならないという事実を忘れてはいけません。
自分の返済力以上に借入しては、自分の首を絞めるばかりか、
倒産ということにつながるケースもあります。
どうしても、人間はお金があると使ってしまいます。
借入したお金で、ムダな投資をしたり、派手に接待を繰り返すことは
よくあることです。
借入をする前に考えなければならないことは
・本当に借入が必要なの?
・自分が返済できる借入金額とは?
ということです。
できるなら借入しなくて、資金を回す方がいいでしょう
もちろん、事業拡大には先行投資は必要です。
しかし、身の丈を超える急拡大は危険です。
借入を伴う場合、自社の体力を考えた成長スピードかを十分に考え
なければいけません。
■ バランスシート(B/S)を見直す
借入する前に、もっと自ら資金を生み出すことができないかチェックしてみましょう。
・在庫をチェック
在庫が多いとそこに資金が寝てしまいます。
在庫が過剰になっていないかチェックしましょう。
何日分の仕入金額が在庫になっているのか、というようにです。
・売掛金をチェック
売掛金が買掛金よりかなり多くなっていないかチェックしましょう。
通常、売掛金が買掛金よりかなり多いと、入金がそれだけ遅いということであり、
資金繰りはしんどくなります。
なるべく得意先からの入金があってから、仕入先に支払うようにしましょう。
これは当たり前のことなのですが、意外と実行するのが難しいのも事実です。
取引金額が大きくなればなるほど、支払いが先行するとしんどくなり、
つなぎ融資の借入ということになるからです。
会社の資金繰りの体質を改善することが最も重要です。
また、最近では売掛金の回収可能性についても、銀行からよく指摘されますので、
不良債権となっているものはないか、きちんと整理しましょう。
・仮払金をチェック
支出したものの領収書等がないので、経費処理できず
仮払金となっている場合も多いと思います。
これがあまり多くなりますと、銀行からよく内容を聞かれますので、
一度整理しましょう。
・社長貸付金
色々な理由から社長に対する貸付金が残っている会社も多いと思います。
これも、最近では銀行からよく指摘されますので、なるべく早期に解消しましょう。
税務的にも、問題になることもありますので・・・
■ 損益計算書(P/L)を見直す
・利益の表示のチェック
利益は大きく分けて、粗利、営業利益、経常利益、特別利益、税引前利益、
税引後利益に分かれます。
この中でも特に重要なのが、粗利と営業利益です。
それは、まさに会社の収益力を示すからです。
売上から売上原価を差し引いたものが粗利となり、さらに販売費及び一般管理
費(販管費)を差し引いたものが営業利益となります。
基本的に、売上と直接結びついて増減するものが売上原価であり、
ランニングコストである固定費が販管費になります。
要するに、固定費をまかなうのにいくらの粗利が必要になるのかということになります。
これを損益分岐点と呼ぶのですが、当然、あまりに大きい固定費の会社は、
相当粗利を上げる必要があるということになります。
つまり、売上が減少すれば、たちまちしんどくなるということです。
よく売上原価と販管費の中での混在が生じています。
本来、売上原価であるものが販管費になっていたり、またその逆もあります。
こういった意味で、売上原価と販管費の区別は非常に重要になります。
あとは、固定資産の売却等で臨時の損失が出た場合には、特別損失に計上し、
営業利益には影響がないことをアピールしましょう。
・減価償却費をチェック
購入した内装設備、機械等は、一年で経費にすることは出来ず、
数年かけて減価償却という形で経費にすることになります。
簡単にいいますと、設備投資のため機械を1000万で購入した場合、
10年で100万ずつ経費に計上するということです。
しかし、減価償却費は支出のない経費ですので、
100万の計上は帳簿上だけのことになります。
では、もし仮に、この機械を全額借入(10年返済)で購入していたとし、
減価償却費100万を計上する前に利益がトントン(ゼロ)であったとします。
この場合、この会社は毎年100万の返済が出来るのでしょうか?
残念ながら、利益を計算するうえで、100万の返済金額は経費となりませんので、
利益がトントンということは、100万の返済資金が別途必要ということになります。
回りくどい言い方になり申し訳ありません。
要するに、減価償却費100万を計上した後の利益がトントンでないと、
借入の返済が出来ないということです。
すなわち、今回の場合、減価償却前の利益で、100万が必要ということになります。
そうであれば、同じトントンでも減価償却分は支出がありませんので、
お金は100万残っているということになります。これで返済出来ます。
銀行はこのような見方をしますので、減価償却費は結構重要な要素となります。
・役員報酬のチェック
いわゆる中小企業の場合、会社の利益の大半を役員報酬としてオーナー一族に
支払い、利益を圧縮していると思います。
この場合、役員報酬が多ければ多いほど、当然その会社は儲かっている
ということになります。
よって、銀行からみれば、会社の利益がトントンでも、役員報酬が多い会社は
それだけ評価が高くなります。
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